ヨーロッパが一体となったユーロ経済の現状

ヨーロッパ経済を復興させるために誕生したユーロ

ユーロとは、ヨーロッパ諸国で1999年に導入された統一通貨です。

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戦後の世界経済は、ヨーロッパに代わりアメリカが中心となっていきました。
そんな中、アメリカではヨーロッパ各国の協力関係を強化して、経済力・政治力を再度向上させ、ヨーロッパを統合させるという動きとなりました。
その後、ヨーロッパの経済活動に対する規制緩和・撤廃が進行しました。
その一環として、通貨統合が実施されたのです。

通貨統合にあたって、為替相場を安定させるため、ECU(エキュ)の導入が最初に実施されました。
ECUとは、為替相場の基準となる仮想通貨単位です。
1ECU=1.332フラン+0.624マルク~という形で、ヨーロッパ12ヶ国の通貨から算出されます。

ヨーロッパ各国の政府に対し、ECUと自国通貨の相場を一定範囲内に維持する事を義務づけました。

2009年初頭時点で16ヶ国が導入した

1999年1月、ECUと各国通貨の相場が固定され、1ユーロ=1ECUという規定にもとユーロ導入が実施されました。
当時、欧州連合(EU)の加盟15ヶ国のうち、イギリス・スウェーデン・デンマーク・ギリシャを除く11ヶ国が参加しました。
ギリシャは、2001年に参加しています。
ユーロ導入時、ユーロの紙幣などは未発行であり、金融機関同士の取引などに限り、ユーロが用いられていました。

これに先駆けて、ユーロ参加国の中央銀行となる欧州中央銀行(ECB)が、1998年に設立されました。
2002年には、ユーロ紙幣および硬貨の流通が始まりました。
これにより、ユーロ加盟国では国に関係なく、誰もがユーロで買い物できるようになったのです。

その後もEU加盟国は拡大しており、2007年の時点では27ヶ国が参加しています。
ユーロを導入する国も、2008年1月の時点では15ヶ国となっています。
2009年1月、スロバキアがユーロを導入しました。

ドルに依存した為替制度からの脱却が目標

通貨の統合による効果は、大別すると以下の3つが挙げられます。

○ユーロ加盟国内における為替リスクの消滅

ユーロ加盟国であれば同一の通貨単位であるため、どの国との輸出入であっても、ユーロで代金を支払えばよいのです。
そのため、相場の変動による損失の心配はありません。
自国での商品仕入れと同じ感覚で、より安価かつ高品質の商品を求めて、ユーロ圏内の各国と貿易が可能です。
国同士の決済仲介のため、あらかじめ外貨を確保していた各国の銀行としても、為替リスクの消滅は大きな利点でした。

○資金調達・運用がしやすくなった

同一通貨なので、例えばフランスの企業がドイツの銀行から融資を受け、融資金でベルギーに工場を建てる事も可能です。
また、余った資金を運用する場合、ユーロ圏内で最も金融市況が良好な国を探せばよいのです。
各国の企業・金融機関は、国に関係なくユーロ全体でのビジネスが可能となったわけです。

○ユーロが国際通貨としての地位を確立した

ユーロは、加盟国に限らず周辺諸国との取引でも利用されています。
ヨーロッパ16ヶ国で流通しているため、それらの国々と頻繁に貿易しているユーロ非加盟のヨーロッパ・近隣諸国にとっても利便性の高い通貨となりました。

東ヨーロッパや中央ヨーロッパを含めると、ヨーロッパ全体で50以上の国があります。
さらに、隣接している中東・アフリカ諸国とも、密接な経済関係を持っています。
これらの国々は、いずれも貿易・金融取引の場において少しずつユーロを用いつつあります。

もともと、国際通貨としてはアメリカドルがその役割を担ってきました。
ところが、ユーロもアメリカドルと同じ位置での役割を果たしつつあります。
世界経済において、ユーロでの取引比重が大きくなれば、ヨーロッパの経済活動がアメリカの経済動向の影響を受けにくくなっていくと期待されます。

しかし、世界中の為替取引においてユーロが占める割合は高くなっているとはいえ、まだアメリカドルに匹敵する規模ではありません。
ユーロは、あくまでヨーロッパ周辺諸国を中心に利用されるものです。
アジア諸国の間における決済などで、アメリカドルが利用されている事情とは異なります。

ユーロ導入移行、初となる景気後退を迎えた

ユーロ圏の経済は、通貨統合の成果により好調でした。
しかし、2008年移行、景気後退が明確になっています。

アメリカに同じく、ヨーロッパの金融機関もサブプライムローンなど新たな金融商品に対して積極的な投資を行った結果、大規模な損失を被ったのです。
先行きに対する不安から、ヨーロッパ各国の企業活動はもちろん、個人単位での消費活動も縮小傾向にあります。

ユーロ加盟各国は、圏内での貿易が全体の約70%を占めるなど、圏内取引に依存しています。
そのため、ドイツなど有力な経済国が不景気に陥ると、圏内全域に影響が及びやすい面もあります。

さらに、統一通貨という特性上、金利調節といった金融政策などは、ユーロ圏の中央銀行であるECBが統一して実施します。
つまり、各国の経済情勢に合った精密な金融政策は実施不可能です。

アメリカを発端とする世界的な金融危機を、ユーロ諸国がどう乗り越えるのか注目されます。

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